農業が盛んな愛知県碧南市でカラフルで甘いにんじんやジューシーな玉ねぎといった、こだわりの野菜の生産・販売と、その野菜の特性を活かしたを加工品を販売している鈴盛農園。
テレビなどのメディアでも鈴盛農園の野菜やその取り組みが数多く取り上げられており、その若い力で農業界に新風を巻き起こしています。
そんな鈴盛農園はAgrionをベータ版から利用しているAgrionトップランナーです。今回は鈴盛農園の代表である鈴木啓之さんにお話を伺いました。

鈴盛農園 代表 鈴木啓之さん

新規就農からワクワクする野菜を作るまで

– まずは鈴盛農園について、ご紹介して頂けますか?

鈴盛農園は新規就農の農家で、平均年齢40歳のスタッフで構成されています。主にニンジン、玉ねぎ、じゃがいも、などの露地野菜を生産・販売しています。
収穫した野菜は産直施設や道の駅、スーパー、ECサイトなどで鈴盛農園ブランドの野菜として販売しています。また野菜をより手軽に食べてもらう取り組みとして、鈴盛農園の野菜を使った加工品の販売も行っています。

鈴盛農園名物の「しあわせのカラフルにんじん」
鈴盛農園ブランドの「3種類のにんじんジャム」

– インスタ映えしそうな素敵な野菜ですね! 鈴木さんは新規就農されたと伺いましたが、農業を始めるきっかけは何だったのでしょうか?

私は農業を始める前は自動車関連サービスの仕事をしていました。祖母が家庭菜園レベルで農業をしていましたが私自身は農業とはほぼ無縁で、農業に限らず何らかの事業で独立したいと思っていました。
どういった事業で独立するかを考えていく中で最終的に農業の魅力やビジネスとしての可能性を感じ、25歳の時の結婚を機に就農を決意しました。

未経験から農業を始めたのですが、農家になれるまでには苦労がありました(笑)。
最初、日本では農家の後継者不足が問題となっていたので新規就農者である自分は歓迎されると思っていました。しかし、新規就農者は野菜を作るための耕作地を借りることがそもそも難しく、私もその問題に直面することとなりました。それでも、どうしても農業がやりたかったので祖母の持っていた小さな農地を引き継ぎつつ、農業大学校に研修生として通いながら農業について勉強しました。

そうした努力が実を結び、耕作放棄地をお借りすることができ、農業を始めると思い立ってから約3年後に農家になることができました。

– 新規就農から農業を始められるまでには苦労があったんですね。逆境に負けずに取り組みを続けられたのは、何か理由があったんですか?

1つは農業界を変えてやろうという想いをずっと持ち続けたことですね。
鈴盛農園の理念である「日本の農業をカッコよく!」を実現するために、新規就農者として農業界にインパクトを与える使命に燃えていました。

周囲の環境としては、4Hクラブ(農業青年クラブ)との関わりがターニングポイントでしたね。
農業研修生の時に、にんじんの糖度を上げるための「塩農法」という栽培方法を独自に研究し、これを4Hクラブのプロジェクト発表で披露しました。
こうした4Hクラブの活動を通して、農業に熱い情熱を注ぐ若者たちと知り合うことができ、4Hクラブのような取り組みをもっと発信し日本の農業を盛り上げたいと改めて決意しました。

4Hクラブでは会長職も務められた鈴木さん

– 農業に熱い情熱を燃やすコミュニティの中で、気持ちを高めながら、農業を実践されていったのですね。鈴盛農園さんはテレビやメディアにも多数取り上げられていますが、何か工夫していることがあるのでしょうか?

会社員をやっていたときから情報発信することの重要性は分かっていました。なので農家を始めてからもブログやホームページで鈴盛農園での取り組みを積極的に発信していました。私が農業を始めたころは、農家でインターネットを使って情報を発信している方がほとんどいなかったというのもあり、メディアの方に鈴盛農園の野菜が目に止まって、そこから取材依頼が来るようになりましたね。プレスリリースも活用しました。
私としてはブログやホームページで現場の農家の声を発信することは、耕作における農機と同じくらい大切な事だと思っています。

– 農業経営にインターネットでの情報発信を有効活用されていたのですね。鈴木さんの想いが注がれた鈴盛農園の野菜はとても個性的かつ魅力的ですが、こうした野菜のアイディアはどのように沸いてくるんですか?

自然と色々なアイディアが沸いてくるのですが、アイディアを出す時に特に意識していることは、「ワクワク」することを大事にしています。
一般的に野菜って日常のモノであって「ワクワク」しないですよね。じゃあ、どんな野菜だったら「ワクワク」するのかを考えてみて、とても甘いニンジンやカラフルなニンジンなどが思い浮かんで、更にその野菜を目立たせるパッケージやネーミングはどんなのが良いのか…、といった流れで鈴盛農園ブランドの野菜や加工品が生まれます。

– 発想力を全開にして商品を企画されているんですね!

使いやすいサービスを求めて、Agrionに出会う

– 鈴盛農園でAgrionを使うことになった、きっかけは何でしょうか?

以前は、紙やエクセルで作業記録をつけていました。しかし畑は一箇所に集まっている訳でなくバラバラに位置していることもあり、紙やエクセルでは畑に基づく作業記録の管理が難しくなってきました。

他の農業日誌アプリも試してみましたが、なかなか実用的なサービスに巡り会えませんでした。
そんな中、Agrionを運営しているTrexEdgeの方々と知り合う機会があり、サービスとして公開される前のAgrionをテストユーザとして使わせてもらえることになりました。現場目線で意見や要望を伝えたところ、すぐに機能として反映され改善されていったので、それからはずっと使っていますね。

具体的なAgrionの利用シーンを教えて頂けますか?

農作業の現場では漏れの無いように、スタッフには必ず作業を記録してもらっています。圃場に基づいて過去の作業記録を確認できるのが便利ですね。
例えば「どの畑で・いつ種まきをしたか」という記録を確認したい時は、Agrionを使う以前は事務所に戻り作業日誌を見直す必要がありました。今では全ての記録がAgrionにデータとしてあるのでスマホを使ってその場で確認しています。

他には、畑の場所の確認手段としても重宝しています。作業する畑の間違いによるトラブルが過去に起きてしまったことがありました。畑には目立った目印が無く場所も散らばっているので慣れていないと分かりにくいんですよ。今はAgrionを使って自分の位置情報からどの畑にいるのかを確認できるので、そのような間違いは無くなりました。

– 農作業の現場をAgrionがサポートしてくれるんですね。Agrionで記録したデータはどのように活用されていますか?

経営者視点で、例えば特定の作業に要する時間の個人差を確認しています。Agrionで記録を取るまでは、何となく定性的に作業者のスキルを把握していたのですが、データを取ることで定量的に判断できるようになりました。そのデータをもとに、踏み込んだ指導ができるのでスタッフの教育にも役立っています。
後は、農作業における移動のムダ時間がどのくらいあるのか気になったので移動の記録もAgrionでつけることにしました。すると1ヶ月のうち5日は移動が時間を占めていたことが分かり、これには正直驚きました(笑)。
これを機に「移動」に対する見方が大きく変わりましたね。同じ方面での作業はできるだけまとめて行うようにして日々改善しています。

鈴盛農園のカラフルなじゃがいも

農業経営全般をサポートしてくれるサービスになることを期待

– 恐縮ですが、「Agrionのココがすごい!」ってところがあれば、教えて頂けますか?

畑にいながら、アプリで作業の検索や確認が簡単にできる点ですね。スタッフがどこでどんな作業をやっていたのかという情報は、昔は電話で確認していました。
それが今はAgrionを使って、スマホでできるので便利です。出張が多かったりして、現場にいられない農場経営者にとっては、ありがたいです。

– ありがとうございます!スマホ片手に現場で使える農業アプリとして広く認知されており嬉しいです。逆に「Agrionのココが使いにくい」ってところがあれば、遠慮なく教えてください!

ベータ版の頃に比べてかなり使いやすくなり、サービスとして完成されてきた感がありますね。
強いて言えば、うちのように少量他品目で栽培しているような農家だと、1つの圃場の中で複数の作物を栽培しています。最近はそういった農家さんが増えていると思うので、圃場に対して複数の作物が登録できると入力の手間が省けて便利ですね。

– ご意見ありがとうございます。ユーザーの皆様が入力しやすいインターフェイスを目指し、引き続き改善を行って参ります。

作業記録以外も、農業経営に関わる業務がAgrionでできるようになることに期待しています。
例えば、納品書・受発注・経理などはそれぞれ別のサービスを利用していますが、一元化できればより便利になるのでAgrionと連携できると嬉しいです。
他には、作業記録を応用して収穫した作物の栽培記録を外部公開できるようになったり、売上に繋がるようなECの機能であったり、農業関係者を結びつけるSNSなど、最終的にはAgrionが農業経営全般をサポートしてくれるサービスになることを期待しています。

鈴盛農園のにんじん畑と鈴木さん

– Agrionのサービスとしての広がりについても、期待を寄せて頂きありがたいです!農家さんを幅広くサポートできるサービスを目指して開発を進めてまいります。今回は、Agrionトップランナーである鈴盛農園の鈴木さんにお話をお伺いしました。ありがとうございました!


現在、鈴盛農園では非農家出身で農業での独立希望者を中心に、研修生を募集しています。

愛知県産地直送 こだわりの人参・新鮮野菜販売 鈴盛農園|ハタケマルシェ

耕作する農地も募集もしています。愛知県の碧南市、高浜市、安城市、西尾市の農地を探しています。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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